活動の紹介

生活向上とライフプランニングの二軸で、アフリカのエイズ孤児や貧困家庭に自立的支援を。

特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS

UNAIDS(国連合同エイズ計画)が2018年7月に発表した統計によると、両親または片親をエイズで亡くした18歳未満の子ども=エイズ孤児は、世界に1,220万人いるといわれています。エイズ孤児の多くはアフリカ地域に集中しており、HIV感染の可能性に加えて、親をエイズで失うことによる偏見や差別、稼ぎ手を失うことによる貧困など、様々な問題を抱えています。現地ではどのような問題があり、どのような支援が行われているのでしょうか。NGO・PLASで代表理事を務める門田瑠衣子さんにインタビューしました。

門田 瑠衣子(もんだ るいこ)
NPO法人エイズ孤児支援NGO・PLAS代表理事。フィリピンの孤児院や国際協力NGOでボランティアを経験し、2005年、大学院在学中にケニア共和国でボランティア活動に参加。2005年にNGO・PLASの立ち上げに携わり、同団体事務局長を経て、現在に至る。2016年、「青年版国民栄誉賞」と言われる人間力大賞にて準グランプリおよび外務大臣奨励賞を受賞。2015年より特定非営利活動法人国際協力NGOセンター(JANIC)の理事に就任。

この活動はこんな人におすすめ

・国際協力に興味がある
・エイズ孤児やシングルマザーの支援をしたい
・未来を担う子どもたちを応援したい

エイズと子どもたちの問題について、同じ想いを持った仲間で設立

活動を始めたきっかけを教えてください。 

私自身、もともと国際協力には関心を持っていたのですが、大学の指導教官がアフリカの研究をしていたこともあり、一生に一回はアフリカに行ってみたいという気軽な気持ちで、ケニアでのボランティア活動を始めました。当時、所属していたNGOには、アフリカや東南アジアなど、さまざまな国でボランティア活動を行っている仲間がいました。それぞれが、現地でエイズや子どもたちの問題に直面していたことから、日本へ帰国後、エイズと子どもたちの問題について話し合いを行いました。その勉強会がきっかけとなり、2005年に仲間7名で「NGO・PLAS」を設立しました。ウガンダで活動していた仲間が、現地の人から「エイズ孤児がたくさん通っている小学校を支援してほしい」と言われたとことから、その小学校を支援することが最初のプロジェクトとなりました。

▲NGO・PLAS代表理事の門田さん。プライベートでは4児の母です

2つのプログラムで自活していく力を開花できるように後押し

NGO・PLASではどんな活動をされていますか。 

現在はケニアとウガンダで、エイズ孤児の家庭や貧困家庭に対して、「生計向上支援」と「ライフプランニング支援」の2つのプログラムを提供しています。私たちが支援する家庭の子どもたちは、小学校に入学することができても、経済的な理由で中退してしまうことが大半です。保護者が子どもたちの教育費が払えるよう、スモールビジネスの立ち上げからサポートしていく「生活向上支援」を行っています。

さらに「ライフプランニング支援」として、カウンセリングも行っています。保護者に対しては、この地域にはこういう中学校や高校があり、費用はこのくらい必要という進学に関する情報提供。そして、子どもの発達や栄養、衛生面についてなど、カウンセリングの内容は様々です。保護者たちにはカウンセリングを受けながら少しずつステップアップしてもらい、最終的には子どもの進学についての具体的な話をしていきます。子どもたちに対しては、得意な教科やしてみたいこと、将来どのような大人になりたいかなど、目標についてのカウンセリングを行っています。

私たちは基本的に“あげる支援ではなく、作る支援”ということを大切にしています。例えば、教育費においても「代わりに出してあげればそれで解決するのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。しかし、保護者一人一人が仕事をして、自活していく力を持っているので、それを開花できるようサポートを行っています。

具体的にどのようなスモールビジネスをしているのですか。 

ケニアは2016年から農業を、ウガンダでは2017年から小さなカフェの運営と、農業を行っています。ケニアでは、家庭ごとに農業を行っていますが、ウガンダでは20〜40人のグループで一つの農業を行っています。基本的な農業研修はもちろん、会計研修、マーケティング研修など様々な研修を通して、「収穫量が増えるように作る」「売りやすいものを工夫して作る」など、リスクマネジメントができるような支援を行っています。

スモールビジネスの内容は、地域ごとのニーズや競合について考えながら、現地の人たちがやりたいことを取り入れています。ケニアで私たちが支援している場所は乾燥地域なので、飢饉(ききん)が起きたときの食料不足が深刻です。現地の人たちも食べ物に対する危機感が非常に強く、スモールビジネスをするのであれば、万が一飢饉が起きたとき、食べ物に困らないようにしたいという現地の人たちの意見もあって、農業をすることになりました。ただ、乾燥地域なので土地は豊かとは言えません。あまり良い土ではないため、農業をするには非常に難しい場所でもあります。そういった場所でどうしたら農業が出来るか試行錯誤していくことで、周辺地域との差別化ができ、結果、収穫物が売りやすくなるということになります。

▲ケニアとウガンダそれぞれで、農業を通した生計向上支援を行っている

現地パートナーのNGOと連携しながら活動

日本で活動する団体として、現地とどのような連携をされていますか。

現地パートナーであるNGOと連携し、活動を行っています。PLASの強みは、事業の調査から立案、モニタリングして評価するという一連の流れをロジカルに組み立てられるということ。現地NGOの強みは、現地の事情を細かく理解しており、実行面でしっかりと受益者一人一人に寄り添うことができるということ。もちろん立案は一緒に行っていますが、それぞれの得意分野をいかして、役割分担をしています。今後は、ほかの地域でも連携できるNGOを増やしたいと思っていますが、コロナ禍により後ろ倒しになっているのが現状です。

一人一人にカスタマイズされた支援のため、事業拡大が課題

現在、活動を行っているなかで課題はありますか 

事業を拡大していくという部分に課題を感じています。PLASの事業は1000人に同じ支援を一気に行うような画一的な支援ではありません。それぞれの状況を聞き、カスタマイズしているため、どうしても一人のカウンセラーでは人数の限界があります。複雑な事情が重なっている人たちが多いので、丁寧に対応していかないと自立まで後押しができないと感じているのでバランスが難しいですね。さらにカウンセラーについても、どう増やしていくのか、増やすキャパシティはあるのか、人材はどこにいるのかなど、拡大が難しいタイプの事業だと実感しています。

▲ウガンダ共和国ルウェロ県で行われている、カフェ・ビジネスによるシングルマザーの生計向上事業

やはり現地でもコロナ禍の影響は大きいのでしょうか 

日本も同じだと思うのですが、先が見えにくくなってしまったことが大きな課題ですね。昨年はコロナの影響で、多くの事業が中断や遅延に追い込まれてしまいました。ロックダウンで公共の乗り物が動かなくなり、思うように動けませんでした。保護者の収入も途絶えてしまったため、緊急で食糧を届ける支援を何度か行いました。今年に入ってようやく先が見えてきたところに、デルタ株など新たな問題が起こりはじめているので、本当に先が見えにくいですよね。昨年は誰もが初めてのロックダウンで想像が出来なかったけれど、一通り経験して、少し予測が立てやすくなったというのはあります。

保護者と子どもが少しずつ変化していくことが喜び

この活動をしていて良かったと思う瞬間を教えてください。

プロジェクト開始前は、ほぼ100%近い家庭が教育費の支払いが滞っていましたが、今では期日通りに払える人が半数以上になっています。劇的な変化ではないですが、初めて子どもにお小遣いをあげられるようになったとか、保護者が進学を応援してくれていると知った子どもにやる気が出て、成績少しずつ良くなっていくとか、そういった小さな変化を重ねていくことができることが喜びです。

▲ウガンダでのカフェ研修における卒業式にて。研修を終え、これから自立していく保護者たちに終了書を授与

事業拡大のため、パートナー探しと新事業に挑戦

活動をする上での目標やゴール・今後の活動について教えてください。

一つは事業を拡大していくために、新たなパートナーを見つけて、新しい事業に挑戦していきたいと思っています。“スモールビジネスで生計向上しつつ、親子にカウンセリングを提供する”という活動のパッケージを、他の地域や他の団体にも届けていきたいです。

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特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS

2005年、学生を中心に日本で設立された国際協力NGO。複雑で手の届きにくいエイズ孤児問題の解決に向けて、「生活向上支援」「ライフプランニング支援」の2つを軸に、アフリカのケニアとウガンダで支援活動を続けている。第2回ジャパンSDGsアワード受賞。